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札幌地方裁判所小樽支部 昭和39年(わ)131号 判決

被告人 中島キヨ

明三七・一二・一〇生 浴場業

主文

被告人を禁錮四月に処する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(犯罪事実)

被告人は小樽市桜町一五九番地において、やや北側道路に面した間口五間半、奥行一〇間半の木造亜鉛板葺一部二階建家屋建坪約八二坪一棟を管理して浴場業を営み、同家屋のうち北側から奥行八間半の部分は脱衣場、浴場、ボイラー室(罐焚場)を順次区画設置して営業用に、右ボイラー室の南側残部と脱衣場上部に設けた二階を住宅用に各使用し、家人等とともに居住していた。そして右ボイラー室の西側から一二尺、北側にある浴場との仕切りモルタル壁(浴場南側面モルタル壁)から一尺七寸八分離れた個所に、コンクリート製構築物の湯焚罐およびこれに接続する煙筒基礎(煙筒基部)を設置し、同基礎の上部にコンクリート製煙突を屋外まで立て、石炭、鋸屑等を燃料に使用して連日開湯していたものであるが、およそ浴場経営者は、常に火災予防のため湯焚罐およびこれに接続する煙筒基礎等、いやしくも火気に接する部分の構築物を点検、確認し、毀損個所を速かに修理するはもちろん、右構築物の至近距離に可燃物を存置させない様火気取締に万全の措置を構すべき業務上当然の注意義務があるのに拘らず、右義務に背いたため、煙筒基礎北側面中央付近に縦約四分、横約四寸二分、深さ内部煙道に達する亀裂穴が、また同所と一尺七寸八分距てて対面する浴場南側面のモルタル壁に欠壊穴があるのに気付かず、そのうえ、かねてから両者の中間に、右煙筒基礎の亀裂穴部分に接着させて可燃物の叺、莚若干枚を、その上部に鋸屑を堆積放任したまま漫然自らまたは使用人水越武をして、連日焚缶内を燃焼させた過失により、昭和三一年五月一二日前記煙筒基礎亀裂穴より火気が洩れ、これに接する叺、莚等に引火して対向モルタル壁欠壊穴部分までの叺、莚等を横這状に燃焼させ、ついに同日午後一一時四〇分頃、右モルタル壁内部の防水紙、腰板等に着火させて同家屋を全焼させたうえ、強風に煽られて隣接の佐々木弥治郎、佐藤徳光等の各住宅をはじめ付近の住宅合計二九棟(延坪一、〇三三坪)を全焼させ、以つて現に人の住居に使用する建造物を焼毀するに至らしめたものである。

(証拠の標目)(略)

(争点の判断および問題点の検討)

当裁判所は、前掲証拠によつて、判示事実を認定したが、被告人および弁護人は、判示煙筒基礎の亀裂穴またはモルタル壁の欠壊穴の存在と出火原因を極力否定し、一部これに副う証拠も存在するので、以下出火原因確定の経過を説明したうえ、他の火災原因を検討し、併せて判示構築物の瑕疵ないし出火原因と矛盾する証拠を採用しない理由を明らかにする。

一  出火原因の確定。

本件火災が被告人方家屋から出火したことは、証拠上明白であるから、家屋のどの部分から発火し、どのような媒介物を経て建物に延焼したかを順次検討する。

司法警察員作成の実況見分調書(但し証拠の標目欄に掲記の分、以下単に実況見分調書という)、中島又三郎の司法警察員に対する供述調書によれば、被告人方家屋は判示の場所に位置し、判示の構造をなしているほか南側住宅部分の一部に中二階を設けているが、同所は居室に使用していないことおよびボイラー室と浴場の上には居室がなかつたことが認められ、被告人の検察官および司法警察員(全部)に対する各供述調書によれば、同人は入浴中の午後一二時頃、浴場の上を見たら、男浴場の湯気抜穴から白煙およびこれに続いて黒煙が吹き出していたこと、右発見直後、浴場北側に隣接する脱衣場から東隣りの男脱衣場およびその東側廊下を経て、ボイラー室東側に隣接している表玄関内広間に通ずる仕切戸前までかけつけたが、その間には全く火気がなく、右仕切戸から入らうとした際、娘僖久枝に引き止められたこと、次いで消防署に急報しようと思い、建物北側の浴場出入口を通り、一旦戸外に出てから、近くの岩佐雑貨店付近まで行つた後、再び自宅に引返し、ボイラー室西側の裏口より室内に入つたが、その頃はまだ同室西側には火煙を発見しなかつたので、焚缶前付近に居る鶏や犬を表に出し、さらに、ボイラー室西南から台所を経て、中二階に上らうとしたところ、煙のため果し得なかつたことが認められ、当時被告人と共に入浴中の娘中島僖久枝の司法警察員に対する供述調書によれば、同人は被告人に従い、前記男脱衣場東側廊下を経て、前記表玄関内広間に通ずる仕切戸から入らうとした際、同仕切戸のガラスの入れてない部分から煙が吹き出してきたので、危険を感じて、被告人の入室を引き止めたことおよびその後被告人と一緒に浴場表出入口から戸外に飛び出し、約五〇米離れた国道角の室谷商店までかけつけ、火事を知らせた後、自宅に引返し、ボイラー室西屋外に避難したが、右室谷商店から引返す途中自宅を見た際、浴場湯気抜穴から火が吹き出しており、脱衣場には火が廻つていなかつたことが認められ、被告人方使用人水越武の司法警察員に対する供述調書によれば、同人は被告人入浴の頃隣室の男浴場で掃除中、被告人の「火事だ」と叫ぶ声を聞き、次いで、ボイラー室のモルタルの陰の方で、バラバラとモルタルの上から物の落ちる音がして、上から煙が巻き出たので、上を見ると、湯気抜穴付近から火が出ていたことが認められ、被告人の夫である前記中島又三郎の検察官および司法警察員に対する各供述調書によれば、同人は同夜飲酒したため、被告人が火災を発見した頃は、住宅部分の階下中央の居室六畳間で就寝しており、異状を感じて目を覚し、火災と判るや、西側台所からボイラー室に通ずる出入口を通つて、一旦ボイラー室に入り、次いで、同室西側の裏口を経て戸外に出た後、自宅西側で、燃焼状況を見たが、その際浴場湯気抜穴から火焔が出ていたこと、同人が火災であることを知つた時は、右湯気抜穴から火が出ていたほか、他の部分に火煙のなかつたことおよび火煙はボイラー室と浴場との間にある仕切りモルタル壁間の空洞を伝わつて上昇し、湯気抜穴から出たものと思われたことが認められ、小樽測候所長作成の「気象資料の送付について」と題する書面によれば、右出火当日は終日風が強く、同夜一二時頃には西南西の風で毎秒一一米余の風速であつたことが認められる。

以上認定の事実のほか後記認定のとおり、浴場とボイラー室とを区画する仕切りモルタル壁の空洞状況、表玄関内広間で火煙が発生しても、湯気抜穴に通じ難いことその他各証拠によつて認められる諸事情を綜合すれば、被告人らの発見した白煙および黒煙はボイラー室のうち東北の男浴場に近接する付近から発生したものであつて、先づ同所が燃焼し、漸次火勢を強めながら、焼失範囲を拡大したものと推認することができる。

進んで発火点および延焼の経過を探求するに、裁判所の証人茅根秋次郎、石本弘の各尋問調書、第一四回公判調書中、証人鈴木勝弥の供述記載、証人茅根秋次郎の当公廷での供述、中島又三郎の検察官および司法警察員に対する各供述調書、実況見分調書、小樽市消防長証明の被告人方家屋見取図によれば、被告人方ボイラー室は、男女浴場の南側に隣接し、床を低く堀り下げてコンクリート造にしたうえ、間仕切りで区画した東西(間口)四間半、南北(奥行)一間半の長方形型建物部分で、東側はモルタル壁を経て表玄関内広間に接続し、部屋の西側中央に裏口を、また、東南の角に表玄関に通ずる出入口を設け、各裏口から一二尺、北側に隣接する浴場との仕切りモルタル壁から一尺七寸八分離れた個所に、焚口を西方に向けた高さ五尺、巾四尺、奥行九尺の安藤式焚缶を、その後方三寸の間隔を置いて、高さ四尺、縦、横いずれも約二尺九寸の煙筒基礎(煙筒基部)を設置し、これらはすべてコンクリートの構築物とし、右煙筒基礎の内部は釣型に穴をくり抜き、その一方出口を西方に向けて焚罐後部の煙道穴と向き合わせたうえ、両者を直径一尺二寸のコンクリート製煙筒で連結させ、他方の穴を煙筒基礎の上面に出し、同所に直径一尺三寸五分のコンクリート製煙突を屋外まで直立させ、焚缶で発生した煙を屋外に排出させる構造をなしていたこと、警察官が鎮火後の翌日午前八時過頃、被告人方焼失現場に臨み、実況見分をなした際、建物は全焼していたが、焚缶の焚口から煙筒基礎の末端に至るまでの両側部に鋸屑を密着させて堆積し、その量は焚缶の右側、すなわち南側において、巾約二尺五寸、奥行約一〇尺、高さ約四尺八寸、左側、すなわち北側において、高さ約五尺に達し、対向する浴場南側モルタル壁に至る一尺七寸八分の空間を埋めつくしていたこと、もつとも、煙筒基礎北側の状況は、同基礎と対向する浴場南側のモルタル壁間に、高さ一尺五分、縦、横各一尺三寸五分大の竹製御用篭をコンクリート床上に置き、その上部に叺および莚各一枚を、さらにその上に莚および叺各若干枚を積み重ね、その上に鋸屑を積載したものであつて、床から叺および莚若干枚の付近まで約二尺、鋸屑の上面まで約五尺あり、右御用篭上に重ねた莚または叺等の上面に積載した鋸屑は、煙筒基礎の上面から焚缶に直結するコンクリート煙道を埋めるとともに、煙筒基礎背面、すなわち東側に面する煤落口付近まで鋸屑が崩れ落ちていたこと、そして右のうち、御用篭から、これに順次積み重ねた叺および莚各一枚までの部分は、全く燃焼を免れ、他方叺、莚若干枚の上部に積載した鋸屑は、その上部表面が僅かに燃焼したのみで、他は異状なく、かえつて中間層にある前記莚一枚の上部に重ねた叺若干の部分が厚さ約二寸の層をなして、現に煙を発しながら黒くなつており、その上部に重ね、鋸屑と接着する部分までの叺、莚若干枚だけが五寸余の厚さですでに白灰化し、横這に帯状の層をなして完全に燃焼していたこと、しかも、右白灰部分と接触する煙筒基礎外面には、縦約一寸八分、横約六寸九分のコンクリート亀裂部分があつて、そのうち縦約四分、横約四寸二分は欠壊し、その深さは厚さ九寸のコンクリート壁を貫通し、内部に進むに従つて狭くなる、いわば一種のじようご型に穴があいているほか右亀裂部のコンクリート外面上部に煙が吹き出したと思われる燻焼痕があること、亀裂部から一尺七寸八分離れて対向する浴場南側モルタル壁には、亀裂部と同じくコンクリート床上約二尺高の個所に、縦六寸、横二寸四分大のモルタル欠壊穴部分があつて、前記白灰化した叺、莚等はこのモルタル欠壊穴部分に連続しており、いわば亀裂穴部分から欠壊穴部分までの叺、莚若干が恰も五寸余の厚みで帯状をなし完全に燃焼していたこと、浴場をボイラー室とを区画する仕切り壁の状況は、東西に走る高さ八寸五分の基礎コンクリート上に四寸五分角の木材土台を置き、これに三寸五分角の柱を配し、ボイラー室側と浴場側の両方から約四寸の間隔を置いて、それぞれ板の厚さ約三分、モルタルの厚さ約五分のモルタル板を、その各内側に防水紙を貼りつけ、さらに腰板を立て、特に浴場側のモルタル壁の表面にのみ厚さ二分のタイル板を張りつけているものであつて、要すれば、モルタル塗りの壁板を四寸の間隔を置いて二枚立て、その中間を空洞としたものというべく、右仕切りモルタル壁の高さは約一二尺に達し、中間の空洞は解放されたまま天上に至つていること(なお、浴場側の基礎コンクリートはボイラー室側の基礎コンクリート上面より一尺三寸高い。)、浴場東側は廊下になつてボイラー室東側に隣接する表玄関内広間に通じているため、同広間内で発火しても煙は湯気抜穴に上昇し難いこと、前記煙筒基礎亀裂穴(以下単に亀裂穴という)に対向する浴場南側仕切りモルタル壁の欠壊穴(以下単に欠壊穴という)の下方は、前記四寸五分の角材上辺から約二分上方に位置し、欠壊穴の東側至近距離にある支柱は下方一尺八寸を残し、また、同支柱付近の土台は基礎コンクリートに接する部分のみ厚さ一ないし二寸の不規則な炭化状態で残存するほか、その余の部分は全部焼失していること、その他焚罐および煙筒基礎は、亀裂部分以外に異状がなかつたことを認めることができる。

以上認定の事実と証人田中三宏の当公廷での供述および鑑定人田中三宏の鑑定書、被告人の検察官および司法警察員に対する各供述調書によつて認められる本件火災が判示の原因によること、小樽測候所長作成の前記書面によつて認められる本件火災当日の風力がかなり強大であつたこと、被告人(昭和三一年六月八日付)、水越武の司法警察員に対する各供述調書によつて認められる前記煙筒基礎北側の御用篭上に重ねた叺、莚等は、大分以前から存置し、従つて乾燥率も高かつたこと、水越武は出火当日午後四時過頃、煙突の吸込みが悪かつたため、煙筒基礎東側下部の煤落口から、油煙をかき出したことおよびその際右煤落口の前方約一尺五寸の場所に置いた板蓋に、煙道内の火焔が着火する程、排気ガス等の逆流が強かつたこと、鑑定人浜田稔作成の鑑定書によつて認められる諸事実、特に亀裂部上方の燻焼痕は、亀裂穴から煙道内の排気ガスが吹き出したことに基因すること、煙突上部から風が逆流し、または、煤がたまつて通風が悪化する等の異状があれば、煙道管小孔からガスを吹き出す原因になること、煙筒基礎コンクリートに「巣」があり、対向モルタル壁モルタルに欠部があれば、煙突作用ないし吸引作用を伴い、鋸屑の燃焼を早めること、燃焼が不正常な場合は、煙道壁のコンクリートの「巣」から燃焼ガスが吹き出しやすく、缶焚場付近からの出火原因として、一般的に極めて多いケースであること、水越武が煤落口から石油缶四杯の煤を取り出す前は、煙突の吸込みが悪く、煙筒基礎コンクリートの「巣」等から燃焼ガスを吹き出す可能性は強かつたと思われること、本件出火原因を洩電に求めることは、消燈時期との関係上無理であること、一般に火をたく窯およびこれに連がる煙道は、例えコンクリート製であつても、その外面はかなり高湿となり、コンクリートの「巣」や亀裂は、外面温度の上昇を助長するから、本件のように窯およびそれに連がる煙道コンクリートの外面に、燃焼物である鋸屑類を常時堆積した場合、右鋸屑は常温よりもかなり高い温度を維持し、それだけでも、火災原因になりかねないこと等を綜合するとともに、叺、莚等は藁で製作されていることおよびその密度が荒く、空気を含み易いことは、公知の事実に属し、従つて、叺、莚の燃焼速度は、鋸屑のそれより早いことの経験則上明らかな事実を合せ考えれば、本件火災は、亀裂穴から噴き出した火気がこれに接着する叺、莚等に着火し、同所と対向欠壊穴とが煙突作用を起すと同時に、その下方の莚等から御用篭に至るまでの通風、特に折柄の強風が空気の供給量を増大されるとともに吸引作用を強め、燃え難い鋸屑を残して前記叺、莚部分だけが横這状に燃焼し、次いで欠壊穴から内部の防水紙、腰板等に順次延焼して火が燃え上り、遂に本件火災に至つたものとであり、被告人らの発見した白煙および黒煙は、浴場とボイラー室間を区画するモルタル壁二枚の中間空洞部分を伝わつて、上昇したものと認めなければならない。

二  洩電説および放火説の検討等。

(1)  洩電説について

洩電説は亀裂部上部の燻焼痕はもちろん、亀裂穴から欠壊穴に至る白灰状燃焼を無視しまたはその原因を解明できない致命的欠陥があるが、この点を一応度外視して検討してみる。

被告人方家屋の配電状況を詳にする資料は存在しないが、鑑定人浜田稔作成の鑑定書および第一四回公判調書中、証人鈴木勝弥の供述記載によつて明らかなように、洩電で発火した場合は、発火に次ぐ燃焼により、電線被覆が焼失して断線する結果、屋内電灯が消燈するものであるところ、第五回公判調書中、証人中島又三郎の供述記載、被告人(昭和三一年五月一七日付)、中島僖久枝、水越武の司法警察員に対する各供述調書によれば、被告人および娘僖久枝が白煙および黒煙等を発見し、または水越武がボイラー室上方から物がバラバラ落下するような音を聞いてより消灯するまで、或は被告人の夫又三郎が戸外に避難してから消灯するまで、若干の時間的経過があつたことが認められ、かつ、右消灯当時は、相当燃焼程度が進行していたことは、容易に推認されるから、本件火災原因を洩電に求めることは、全く理由がないといわなければならない。

(2)  放火説について

本件火災を放火に求める根拠はなく、また放火説を採用しても、洩電説同様の致命的欠陥を免れない。しかし、弁護人は、被告人方使用人水越武が出火後異状な行動を採つたとして、恰も同人の放火を疑わしめる主張をするので検討するに、水越武の司法警察員に対する供述調書によれば、同人は被告人の「火事だ。」と叫ぶ声を聞いてから間もなく戸外に飛び出した後、ボイラー室西側出入口付近で、湯気抜穴から火が出て燃焼する状況を傍観したうえ、同所にあつた鍬一本(中島僖久枝の司法警察員に対する供述調書によれば、同人はボイラー室内から鍬を戸外に出してたことが認められるから、水越武の発見した鍬は僖久枝の運び出したものと認められる)を持ち、行く先がなく、疲労のまま、近くの山に行つて午前四時頃までゴロ寝をし、その後は若竹町に居住する妻の実家に帰つたところ、義弟から刑事が自分を捜していることを聞かされ、同日午前一〇時頃、小樽警察署に出頭したことが認められ、第一六回公判調書中、証人中島又三郎の供述記載によれば、同人は本件火災で負傷入院中、水越武が見舞に来て、「火事を出して済みませんでした。」と謝罪したので、その理由を追求しようとしたら、同人は逃げるように帰つたことが認められるけれども、証拠によれば、同人は知能程度が低いことが認められるので、火災のため行先がないまま近くの山に行つて寝たことは、なんら不審とするに当らないばかりか、刑事が捜していることを聞き、すぐ警察署に出頭していることを併せ考えると、その行動は自然なものがあると認めなければならない。また被告人の夫に対して謝罪したとの点は、むしろボイラー室から出火したことを裏書するものであつて、平素ボイラー室の雑役等に従事する者として、通常ありがちな儀礼的挨拶程度を超ゆるものではないから、右の片言、雙語等を捉えて、同人に放火の嫌疑をかけることは失当である。要するに放火説は全く理由がないので採用できない。

三  構築物の瑕疵を否定する証拠の信憑性。

(1)  煙筒基礎亀裂穴について

裁判所の証人竹中義夫、清原潔らの各尋問調書によれば、同人等は煙筒基礎亀裂穴の存在を否定していることが認められるけれども、右各尋問調書は、すでに摘示した証拠に照らし、採用できないが、さらに右各証拠の信憑性が極めて乏しい点を指摘する。すなわち同証拠によれば、竹中義夫は被告人の、また、清原潔は被告人の夫又三郎の依頼を受け、竹中義夫は鎮火当日、清原潔はそれより約半年経過した頃に、煙筒基礎の亀裂状況を調査したところ、穴は内部煙道まで貫通していなかつたというにある。しかし、右亀裂部のコンクリートは、厚さが九寸あるから、外部から見ただけでは、果して穴が内部まで貫通しているか否か容易に確認できず、従つて何等かの方法によつて調査しない以上、判明するいわれがないというべきところ、右両名は調査確認の方法について、なんら供述するところがない。のみならず、もし調査の結果、真実亀裂穴がなかつたとすれば、調査当時、すなわち竹中義夫の場合は五月一三日に、清原潔の場合はそれより半年後に、依頼者たる被告人もしくはその夫に対して、調査結果の報告がなされ、被告人夫婦は、右結果を了知したものと推認しなければならない。ところが被告人の司法警察員(全部)および検察官に対する各供述調書によれば、被告人は本件火災について、昭和三一年五月一三日、同月一七日、同年六月八日の三回に亘つて司法警察員から、また、翌三二年五月一一日に検察官から取調べを受けているのに、竹中義夫らに亀裂穴の有無を調査させたことは、一言も触れないばかりか、右のうち、昭和三一年六月八日および昭和三二年五月一一日に取調べを受けた際、捜査官に対し、かえつて亀裂穴のあつたことを自認していることが認められ、他方被告人の夫中島又三郎の司法警察員および検察官に対する各供述調書によれば、同人は出火の翌六月六日司法警察員の取調べを受けた際、「基部のコンクリート部分やモルタルの部分に穴があいていたことは気がつかなかつた、この事も妻が良く知つているものと思う。」旨の供述をなし、次いで昭和三二年五月二日検察官から取調を受けた際には、「浴場と釜場のモルタル壁四寸の間を火が通つて湯気抜穴から出たものと考える。」旨の供述をなし、さらに第五回公判調書中証人中島又三郎の供述記載によれば、同人は昭和三三年六月九日の右公判廷において証人として尋問を受けた際、弁護人の質問に対し、亀裂穴はなかつたと答弁しながら、検察官の反対尋問に会うや、亀裂はなかつたと思う旨および煙筒内部の板が燃えていなかつたので自分の想像である旨の極めて曖昧な供述をなし、被告人と同様竹中義夫等に調査確認させたことは一言も触れていないことを認めることができる。亀裂穴の存否は出火原因を左右し、従つて被告人の刑責に消長を及ぼす重大事項であるから、被告人夫婦が竹中義夫らの報告を失念していたとは到底考えられない。従つて被告人らが捜査官等に対して、亀裂穴の存在を認めまたはこれを否定せず、或は亀裂穴が存在しない理由を明らかにしなかつたことから、逆に竹中義夫らにおいて、亀裂穴の不存在を確認しなかつたことが推認されるので、この点からも前記証拠は措信し難く、排斥を免れないと言わなければならない。

次ぎに弁護人は、証第一号の焼木片を以つて、亀裂穴の不存在を主張するけれども、第一六回公判調書中、証人中島又三郎の供述記載によれば、右木片は亀裂穴部分に該当する煙筒基礎内壁のものでなく、同所付近のものであることが認められるから、同物件の存在によつて、亀裂穴の不存在を証明することはできない。

(2)  モルタル壁欠壊穴について

モルタル壁に欠壊穴がなかつたとの証拠は存在しない。ただ弁護人は、司法警察員の発見した欠壊穴は、火災前から存在したものでなく、火災によつて、初めて生じた旨主張するので検討するに、裁判所の証人茅根秋次郎尋問調書および実況見分調書によれば、欠壊穴はボイラー室側モルタル壁中、床上約二尺高にあつて特異の形態、様相を呈しているばかりか、同モルタル壁は床上約五尺付近までは崩壊せず、欠壊穴付近は全く損壊していないことが認められ、このことは特に実況見分調書中、No.12の写真によつても、容易に窺われるところであるから、右欠壊穴は、火災発生前から存在していたものと認めなければならない。

四  判示出火原因と相違する鑑定書の検討。

(1)  西鑑定について

鑑定人西忠雄作成の鑑定書(鑑定尋問事項についての解答と記載した書面)には、本件家屋およびボイラー室の構造から火災発生の可能性なく、洩電以外に原因を求めることはできない旨の記載があるが、同部分は前述のとおり失当であるから採用しない。

次ぎに同鑑定書は、一方において、(イ)煙筒基礎に欠壊穴があり、内部まで貫通し、若しくは残り厚さ寸法一、五糎以下まで盲貫通していること、(ロ)モルタル壁のモルタルが欠壊剥離していることの条件を具備する限り、煙筒基礎の火熱により鋸屑に着火することを肯定しながら(モルタルの欠壊剥離がなければ、亀裂部の欠壊穴のみでは着火しないというのか、この点不明であるが、深く立入らない。)他方において、鋸屑の燃焼時間に少なくとも三〇時間を必要とすることおよびその間家人が異状を発見できないのは不審であること等を理由に、亀裂部からの着火を否定している。しかし、右の結論は二つの誤謬を犯している。第一は亀裂部に接着する燃焼物は藁製品の叺、莚であるのに、これを鋸屑と解したことである。前者は鋸屑と違つて密度が荒く、空気を含んでいるため燃え易いことは経験則上明かであるから、亀裂部の接着燃焼物を叺等と解したうえ、すでに詳説したとおり、亀裂穴と欠壊穴の存在が吸引作用ないし煙突作用をなし、燃焼速度を早めることおよび当日の風速による影響等を考慮すれば、前記着火否定の理由は成立しない。第二は燃焼時間が長いため家人発見の確率が高いという点である。当裁判所は判示のとおり亀裂穴に接着する燃焼物を叺、莚等と認定したが、仮りに右燃焼物が鋸屑であつて、燃焼に長時間を要するとしても出火原因否定の理由にはならないと考える。すなわち亀裂穴と欠壊穴があれば、吸引作用ないし煙突作用をなすものであるから、両者の中間にある鋸屑の燃焼によつて発生する煙はむしろ欠壊穴に吸引され、同所からモルタル壁内部の空洞を伝わつて上昇し、湯気抜穴から出ることは見易い道理である。しかも浴場である以上、大きな湯気抜穴(中島又三郎の司法警察員に対する供述調書によれば湯気抜穴は九尺四方の大きさであることが認められる。)から多少の発煙があつても、煙と湯気との識別は困難であるうえ、当日は終日風が吹いていたから、煙が風に吹き消されて、むしろ家人発見の確率は極めて小さかつたと推認しなければならない。仮りに右の吸引作用を度外視しても、証人田中三宏の当公廷での供述、鑑定人浜田稔作成の鑑定書中、「出火前の室内の刺戟煙の程度」と記載した部分によつて認められるとおり、鋸屑の燃焼は緩漫であつて、燃焼範囲の拡大につれ、煙の発生は大になるとは言い、煙は上方に上るから、実際の火災でも出火直前までは気付かれぬ事例が多いこと、殊に本件発火場所は、ボイラー室である以上、常時多少の煙や湯気の存在は免れず、出火するまでの間煙による人畜の感知は、必ずしも可能性があるとは言えないこと、着火部位が焚鑵後部に設置した煙筒基礎北側に位置し、特に両側面の堆積鋸屑等に妨げられ、前方焚口からの見透しが必ずしも充分でないこと、被告人(昭和三一年五月一三日付)、中島僖久枝、水越武、中島又三郎の司法警察員に対する各供述調書によつて認められる被告人方家族構成と出火当日、特に夜間に至つてからの家人の行動、すなわち、本件家屋には、被告人夫婦のほか娘僖久枝と使用人水越武の四名より居住せず、被告人の夫は八時頃外出し、一〇時頃帰宅したとは言え、酒に酔つていたため間もなく就寝し、被告人は浴場番台で客の応待看視をしているほか、僖久枝は南側居宅で勉強をしていたこと、ボイラー室には常時家人が在室する訳でなく、殊に水越武は一〇時頃にはボイラー室の仕事を終えて、同室から出ていること等を綜合すれば、燃焼範囲が拡大し、発煙も多いと認められる出火前の二時間は、ボイラー室で鋸屑等の可燃物が燃焼していても、全く発見できない状況下にあつたものと言わなければならない。

以上説示のとおり西鑑定における着火否定の結論は、極めて不正確な事実関係を基礎とした推論であつて到底首肯することはできない。

さらに同鑑定書は、亀裂部上面の燻焼痕および亀裂穴から欠壊穴に至る厚さ五寸余の白灰状燃焼原因をなんら解明していないが、これも右燃焼物を鋸屑と解し、その燃焼時間による室内の刺戟煙にとらわれた結果であつて、右刺戟煙の程度を前記のように理解すれば、容易に氷解するものと考える。

要するに西鑑定書は、鑑定の前提とした基礎事実に誤謬があるばかりか、前記諸条件の分析、考察に欠ける結果、別個の結論に到達し、または、未解決の部分を残したものであるから、これを採用することはできない。

(2)  浜田鑑定について

鑑定人浜田稔作成の鑑定書(鑑定書正誤の件と題する書面を含む)は、種々の点で判示の出火原因を証明するのに役立つもので、その採用すべき範囲(但し、同鑑定書も後記のとおり亀裂部接着の燃焼物を鋸屑と解しているから、これを叺、莚と修正したうえ、後者の燃焼速度が前者のそれより早いことの経験則上明らかな事実を考慮すべきこと言うまでもない。)はすでに摘記したが、同鑑定書中、本件火災は水越武が煙筒基礎煤落口掃除の際、鋸屑に着火させた火の不始末に基因する公算が大であるとの部分は採用しない。

同鑑定書が亀裂穴からの出火可能性を肯定しながら、前記結論に到達した思考経過を摘記すれば、(イ)二つの隔壁間に入れた鋸屑が、一側面に設けられた穴から着火し、他面へ向つて燃え進む速度は、鋸屑の質、粒大、堆積の状況、含水率等によつて著しく相違するが、一般的には、無風時において、かつ、常温より開始した場合、一時間におよそ一ないし三糎であり、本件煙筒基礎外面に接触する鋸屑の温度を一六二、五度、対向モルタル壁面に接触するそれを三五度、平均温度九九度と仮定すれば、右燃焼速度は経験的に約二倍になるから、煙筒基礎接触面で着火し、同所から約五四糎(一尺七寸八分)離れた対向モルタル壁までの間、鋸屑が燃焼するには、九ないし二七時間を要し、着火時を午後四時と見ても、出火時の午後一二時までの八時間に比し長すぎること、(ロ)亀裂部と対向モルタル壁間は約五四糎(一尺七寸八分)あるのに、亀裂部着火点から堆積鋸屑の上層表面までは一五ないし二五糎に過ぎないので、本件鋸屑の温度を約一五〇度と見れば燃焼速度はさらに短縮され、約三倍に達するものと認められるから、二ないし八時間で上層部まで燃焼することに帰着し、この間家人が燃焼に気付く確率が高いことを主要根拠として、亀裂穴からの着火を否定したうえ、他方被告人方使用人水越武が出火当日午後四時頃、煙筒基礎煤落口から油煙をかき出した際、油煤が真赤に燃えていた事実に着目し、右油煙の火気がモルタル壁側寄りの鋸屑に着火して、比較的短時間にモルタル壁まで延焼した嫌疑が濃厚であると結論するのである。

そこで以下右諸点について検討を加えるに、先づ亀裂穴からの着火を否定する前記(イ)および(ロ)の根拠は、亀裂穴に接着する燃焼物が鋸屑であることを前提とするものであるから、右燃焼物が少くとも叺、莚であれば全く理由のないことすでに西鑑定についての部分で説示したとおりである。また燃焼物を鋸屑と仮定しても着火時刻を午後四時に限定する必要はなく、その以前に着火する場合の刺戟煙程度もすでに述べたから、ここでは右(イ)および(ロ)の誤謬を指摘するに止める。先づ(イ)の点に関しては、同鑑定書中、「焼跡に発見された白灰層」と題する部分によつて認められるとおり、煙筒基礎コンクリートに「巣」があつて、対向モルタル壁に欠部があれば両者が煙突作用ないし吸引作用をなして燃焼時間を短縮するものであるところ、前記九ないし二七時間の算定に当つては、右の吸引作用および当日の風速による通風の影響等を考慮しない欠点がある。次に(ロ)の点に関しては、着火点から鋸屑の上層表面まで一五ないし二五糎あるとの前提は肯認し難い。同鑑定書中、「堆積した鋸屑の燃料」と題する部分には、煙筒基礎とモルタル壁間の鋸屑の積載状況を図解したうえ、鋸屑は煙筒基礎北側面右上部から左床上まで左下りに(煙筒基礎上面の北西角から北東下面)覆われていたものと認める旨の記載があるから右に基き前記数値を推算したものと考えられるが、すでに認定したとおり、煙筒基礎とモルタル壁間には竹製御用篭を床上に置き、その上に叺および莚各一枚、次いで莚および叺若干を順次載せ、さらにその上部に鋸屑を床上約五尺高に積み上げたものである(実況見分調書添付第五図参照)から、むしろ鑑定書記載の状況と異つていたものと言うべきである。

以上いずれの点を捉えても、亀裂穴からの着火を否定する理由は成立せず、この点に関する限り西鑑定書と同一の誤謬を犯したものといわなければならない。

そこで、仮りに前記(イ)および(ロ)の前提を肯定し、水越武の火気不始末の点を考察するに、この場合においても、西鑑定と同様亀裂部上面の燻焼痕をはじめ亀裂穴から対向欠壊穴部分までの間、白灰を伴う叺等の燃焼原因を解明することはできない。のみならず前記実況見分調書によつて明らかなとおり、煤落口は煙筒基礎の背面、つまり、東側に面した穴で、煤落口の下部は、ボイラー室のコンクリート床に接着し、高さ僅か七寸二分、巾一尺二寸五分の比較的小さいものである。この煤落口から床上にかき出した燃焼物が、至近距離にある煙筒基礎北東側の竹製御用篭ないしその付近に崩れ落ちた鋸屑等の可燃物に着火せず、それよりかなり離れた御用篭の上方に積載した鋸屑中、モルタル壁寄りの部分に着火したと推認することは、極めて不自然で単なる推測の範囲を出でず、到底認容することはできない。もし煤落口付近のコンクリート床上に崩れ落ちた鋸屑その他の可燃物に着火したとすれば、御用篭に延焼する確率が極めて高く、仮りに延焼を免れ、モルタル壁際まで、横這いに燃焼したとしても、浴場南側モルタル壁は、高さ八寸五分の基礎コンクリート上にある四寸五分角の土台に立てられたものであるから、壁際で右コンクリートに遮断され、同所から一尺以上も(土台の下面は燃焼していないことすでに認定した)上方に可燃物を伝わつて延焼しない限り、モルタル壁内部の木材等に着火するいわれがないというべきところ、本件においては右各事実を認むべき証拠は一つも存在しない。

よつて当裁判所は、同鑑定書が亀裂穴に接着する燃焼物を鋸屑であると前提してなされた推論を、右燃焼物が叺、莚等の藁製品であると認定したうえ、両者の燃焼速度の相違から生ずる結論を修正(尤も燃焼速度の遅い鋸屑でも同一結論に到達すべきことは前述のとおりである。)するとともに同鑑定書中のその余の部分と前掲各証拠を綜合し、判示の出火原因を確定した次第である。

(法令の適用)

被告人の判示所為は刑法第一一七条の二前段、第一一六条第一項、罰金等臨時措置法第二条、第三条に該当するところ、その情状について考察するに、およそ火災は、独り出火者または家人等のみでなく、近隣居住者に深刻な恐怖を与え、往々甚大な被害を及ぼすものであるから、火災防止は、社会生活を営む以上何人にも要求される基本的な重大責務というべく、それ故、我々は幼少時より、折りにふれ、火気注意の躾ないし教育を受けているのである。したがつて、右の義務に反して火災を発生させた場合は、過失の程度と結果の大小に応じ、それ相応の刑責を負担すべきは当然であつて、これを単に過失犯であるとの理由ないし社会生活を営む以上避け難い災難として諦観、是認し、違反者に対し寛刑を以つて臨むことは、前記火災防止義務の社会性と被害者感情または火災による国家的損失を防止しようとする国民の努力を無視するものと言うべく、当裁判所の採らないところである。この見地から本件事案を検討するに、記録によれば、被告人は浴場主として、火気取締に一段と高度の注意義務を負担していたのに、知能程度が低く、火気取扱に充分な能力を有するとも思はれない判示水越武を使用してその掌に当らしめる等、平素から火気取締に遺憾な点があつたところ、判示焚鑵および煙筒基礎の両側面に可燃物を存置すれば、それだけでも、火災発生の危険性があるのに、同所に鋸屑等の可燃物を積載しないよう所轄消防署員から注意を受けた際、これを取り除けば煙筒基礎の亀裂部分またはモルタル壁の欠壊穴部分も容易に発見できたか、かりに発見できかねても、煤介物がない以上、出火を防止できたのに、右警告を無視し、可燃物を存置させて自ら構築物の点検を不可能ならしめ、本件大事を引き起すに至つたもので、折柄の強風に禍されたとは言え、判示の大火に発展し、多数人の貴重な家財を一朝にして灰燼に帰せしめる重大な結果を招来したのであるから、その不注意、怠慢による責任は重く、諸般の情状を考慮してもなお相当の刑責を免れることはできない。よつて所定刑中禁錮刑を選択し、その刑期範囲内で被告人を禁錮四月に処し、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文を適用し、これを全部被告人に負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 太田実)

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